対談渡辺英司 × 渡辺英治「ふたりは策士」We Two are Tacticians

進行山本さつき(キュレーター)

展覧会の中で唯一、二人が同じ場に立って語った記録。全編の動画が Art Obulist 公式 YouTube チャンネルで公開されている。抄録はカタログ p.36–45 に収録。

1:25:142025.11.22 収録2026.07.17 公開Art Obulist 公式チャンネルYouTube で開く
アーティストトーク「ふたりは策士」 大倉公園休憩棟 2025.11.22撮影:青木兼治
日時
2025年11月22日(土)14:00–15:30
場所
大倉公園休憩棟
出演
渡辺英司(アーティスト)、渡辺英治(サイエンティスト)
進行
山本さつき(キュレーター)
料金
無料
参加者数
約50人

章の番号はカタログの文字起こしに基づく(動画のタイムスタンプは後日)。抜粋は各章の下に。長い発言は(略)で切った。左が司(青)、右が治(朱赤)、進行は中央(緑)。

  1. 01

    画像検索で見つけた「変な顔」

    10年ほど前、「eijiwatanabe」の検索結果に錯視画像と見知らぬ顔が混じっていた

  2. 02

    初対面の 2 時間

    研究所の1階で「ワタナベエイジです」。喋り尽くす。会うのはまだ4回目

  3. 03

    会わずに作った展覧会

    設営中も顔を合わせず。唯一の共作は《ビックリハウス》。

  4. だからまだ4回目ぐらいですかね、お会いするのが。
  5. 設営が始まったところから会ってないし、僕は彼の作品も見てないんですよ。僕は僕で、彼は彼でやっていて。唯一、共作と言えるのが僕の提案を司さんが制作してくれた、ボールが坂を登る《ビックリハウス》。それも僕、作っているとこ見てないんですよ。お互い完全にインディペンデントでやっていて、オープニングの時に初めてお互いの展示の全部が分かった。
  6. 04

    トイレットペーパーの左右

    左はアート、右はサイエンス。同じ材料で解釈が違う。

  7. 左に《トイレットティッシュ》、右に《エビングハウス錯視》のトイレットペーパー
    左⑮《トイレットティッシュ》(英司 作)、右⑯《エビングハウス錯視》(英治 提示)撮影:青木兼治
  8. このへんに変なのあるじゃないですか、トイレットペーパー。左側がトイレットペーパーをくるくるめくっていくと、(折りたたまれて)ティッシュペーパーになっている。
  9. 《トイレットティッシュペーパー》。
  10. そう、こっちはアート作品です。右側にあるのがトイレットペーパーをどんどんめくっていくと、巻きが小さくなっていくと同時に、真ん中の穴が大きく見えるようになるんです。同じティッシュペーパーなんだけど、こちらは錯視。だから右がサイエンスで左はアートなんですね。同じ材料なんだけど。(略)でもアートの方の全部の作品を見て、あの魚の作品(《エデンの海》)を見た時にひょっとして?って思ったんですよね。根本がどこか一致する場所があるんじゃないかなと思って、その後からいくつかの作品を僕の方が追加していくんですね。
  11. 05

    山の両側から登る

    別の分野でも登り詰めれば同じ場所が見える。頂上で会釈してすれ違う。

  12. それが山の両端から全く関係ないところから登って、最後頂上で出会ってすれ違っていく瞬間ですかね。
  13. そうそう一瞬出会って、みたいな。そういう感じです。
  14. それだ、と別段確認するわけではないんですけど、それぞれがそれぞれでそこに来ていますので、パラレルなんですよ。
  15. ちょっと会釈する感じですね。
  16. 交わらないんですよね。交わらないけど同じ頂上に来て、すれ違って、反対に降りていくようなそんな感じですよね。
  17. さつきお二人は頂上から先はもうまた一人で麓に降りる。
  18. 今、パラレルということは、向きは一緒で、ただ交わらない。ある意味、パラレルは永遠に一緒なんですよ、方向としては。
  19. 06

    朝起きたらカラフルな世界

    質問箱の回答が、英司の「解った」体験と一致する

  20. 07

    ドッペルゲンガーと可能世界

    名前が同じで年齢も近い。ネジをきゅっと回せば入れ替わる可能性

  21. 08

    真実に縛られる科学、自由なアート

    科学は目的と嘘のなさに縛られる。「僕の論文は僕の匂いがする」

  22. 僕の論文はどうやら僕の匂いがものすごくしているらしいんです。だから、ちょっとアートっぽい論文になるかもしれない。

    渡辺英治
  23. 09

    錯視を作品にできるか

    蛇の回転錯視の一部を実際に回す。ミュラーリヤー錯視を同じ長さに見えるよう描く

  24. 10

    「〇〇とは何かとは、〇〇とは何か、です」

    問いに「です」を付ける。道元、目的的な身体、教育が生む矛盾。

  25. 僕はいまだに「アートって何?」って言われて答えられないんですけれども。「科学って何?」ということだったら、今回、子供さんからね、「何で知らないことを知ろうとするの?」っていう質問があったんです。(略)でも答えられるんです。アートは僕、まだ答えられない。
  26. それは問いの構造です。例えば絵画で、「絵画とは何か」っていうのがもう何世紀も言われてきていますよね。(略)簡単ですよ、「絵画とは何かとは、絵画とは何か」です。「です」をつけるだけです、問いに。
  27. じゃあ、僕の質問箱の答え、全部それにしようか。
  28. 11

    小学 3 年生の決心

    絵を褒められた英司、「俺が研究する」と言った英治

  29. 12

    人間原理と観測者

    宇宙の存在と観測者。誰もいない森で倒れる木。AI を毛嫌いしない